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CALM #02 ~Night Library Live~ / Ichiko Aoba

Produce / Creative Direction
2018.06

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夜の図書館での演奏会

2017年にスタートした夜の京都府立図書館での小さな演奏会プロジェクト「CALM」。弊社、図書館、アーティストと相互にやりとりしながら、ただの演奏会には終始しない実験的な音楽プログラムとして好評を博しました。

通常、音を出すことができない図書館で音楽を奏でることの話題性と、音楽x図書館体験の新しい試みを毎年組み込むことで2年目にして「今年は何が起こるのか」が期待される公演へと成長しました。

>> 昨年の様子はこちら

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同じ夜は二度とない

2017年が出演アーティストの楽曲を聴いた図書館の方達が、音から想起した書籍を選書。アーティストはそれらを読み、当日に読んだ本のインスピレーションで生まれた音楽を奏でるという言葉を介さない本と音楽のコミュニケーションで公演を計画しました。

2018年は青葉市子さんをゲストにお迎えし、今までは違う夜を計画。
京都府立図書館からの「しおりで面白いことができないだろうか」という提案から、図書館にあるカテゴリごとに分かれた10の棚のキーワードを青葉市子さんにお伝えし、そのキーワードから着想した言葉を直筆でいただきました。その言葉を落とし込んだ「しおり」を演奏後、図書館を回遊しながら探していただくという計画に成長しました。
さらに青葉市子さんが、「押し花をしてあげると喜んでくれのではないか」という提案と押し花一式が届き、120名のお客様分のしおりに押し花がついたものを潜ませました。

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関わる全員が夢中になる公演を

2017年同様、この公演を作る上で信頼する多くの仲間と特別な夜を作ることができました。音響に奈良のsonihouse。演出・照明に劇団VOGA。しおりのデザインと内職にmemの前田健治。10名の優秀なボランティアスタッフ。カメラマンに井上 嘉和。そして、京都府立図書館のみなさん。

2017年の公演で気付いたのは、こちらのワクワクする気持ちは来場者に伝播する。というものでした。と同時に見直すべきポイントもあり、それらを個々で課題としてもちかえり、アイデアを提供しあうという関係性が自然と生まれ、2018年の公演は進化した、また新しい夜として来場者を迎えることができました。

手作業だからこそできた質感

今回、演奏後配布した「しおり」は、すべて手作り。どのような質感が出演者の世界観に合うか。もらったときの質感、重さ。どのようなプロセスでこれを手に取ると嬉しいかの体験設計。それらを考えながら、最終的に薄紙で厚紙を挟み込み、文字やイラストもうっすらとおぼろげに見える状態を目指すことに。出演者より提供いただいた「言葉」をレイアウトし、押し花を挟むことで平面でありながらも少し立体感と質感がある「しおり」が誕生しました。

図書館で過ごした時間を、もう一度。

素晴らしい音楽体験を提供するとともに、図書館での体験をもう一度提供することが本公演の目的でした。かつて、図書館を利用していた人も時間とともに少しずつ利用しなくなり、久々に図書館に来たという人も。
図書館は「知を探求し、共有する」場だと捉えており、来場時に配られた本の検索レシートを頼りに思いがけない本との出会いを演出することができました。

演奏終了後の1時間、通常の図書館利用を可能とし、図書館カードを発行し何冊も借りていく方や、椅子に座ってじっくり読む方、本棚をじっくり眺めて手に取る風景が夜の図書館に立ち上がりました。