Creative Direction / Concept Design / Copy Writing / Direction
2016.04
あらゆる子どもに「子どもらしい成長の機会」を
日本における15歳までの子どもの数は約1600万人。
そのうち15万人が難病の子どもと言われています。特にその中の2万人は、命を脅かす病気を伴う子ども(LTCの子ども)です。
そうした子どもの多くは、長い入院生活や治療の繰り返しを余儀なくされています。それは、遊び、学びや様々な体験など、本来享受すべき「子どもらしい成長の機会」が著しく損なわれています。
私たちの暮らしの中に
TSURUMIこどもホスピスは大阪の鶴見緑地公園内に建設されました。これまで、子どものためのホスピスは病院と思われがちでした。しかし、TSURUMIこどもホスピスは、私たちの暮らしの真ん中にあります。
この施設は、広場やハウスの一部を「あそび創造広場」として、市民に開放し、難病時が地域の子どもとともに遊び、触れ合う人々の日常に当たり前裡にあるコミュニティ型の子どもホスピスとして、存在しています。
写真提供:OUWN
問いでデザインを依頼する
本プロジェクトに関わるために、対象となる子どもたちや家族の状況をリサーチさせていただき、私たちが普段暮らし日常から今まで見えてなかった状況が明確になりました。
これら状況を踏まえ、全体のクリエイティブワークや制作チームへの現在の状況、そして、この施設がどう変えていこうとしているかの未来のヴィジョンを共有し、こういうロゴにしてほしい、というオーダーではなく、私含め「生きる」ことへの意味を考え、問いかけとしてデザインを依頼。相互に生きることの意見交換を踏まえながら制作が進んでいきました。
写真提供:OUWN
それぞれの場所で笑顔を
デザインチームには弊社ロゴを制作いただいたOUWNに依頼。デザインセンスももちろんですが、この状況を受け止め、デザインアプローチでその問いを形にしていただけるか、それを考えチームに加わっていただきました。
鶴見での展開だけではなく、今後、様々な地域の暮らしの真ん中に同様の目的を持った施設が誕生してほしい。それぞれの場所で笑顔が生まれてほしい。そんな思いも込め、ロゴは施設名の頭文字をとった笑顔のロゴを提案。
地域が変わると左目である「T」が代わり、地域それぞれの顔としてロゴが展開できる希望を込めたロゴとしました。
地域に開いていく建築
建築プランについては、いくつかの方向性を共有していただき、弊社は一意件程度ですが投票させていただきました。建築を担当された大成建設チームが、とても素敵な提案をされていたのを鮮明に覚えています。このプランしかないと、こちらも確信するほど、この状況を踏まえた上での建築プランでした。
小さな家がU字につながり、小さな村のような世界観を形成しています。U字であることで半分地域に開きつつ、クローズドな空間も維持されている。素人目に見ても優れた建築プランに感動しました。
与えるつもりが、多くを与えられたプロジェクト
自分ができることで貢献したい。そう思って参加したはずのプロジェクトが、子どもたちや家族、運営に携わるみなさんの話を通じて多くの体験と学びを与えてくれたプロジェクトでした。
日本における、このような状況を変える小さな一歩かもしれませんが、出来上がるまでを見届けた視点でいくと、とてもとても大きく深い一歩だと思います。もっとたくさんの地域に広がることを願って。